インプラント

インプラントとは

インプラントは、歯の機能を回復させる技術の一つです。抜け落ちてしまった歯の下にあるアゴの骨(歯槽骨)に、特殊なボルト型の金属(チタンでできたインプラント)を埋めます。3~6ヶ月するとインプラント体と骨が結合します。これを、オッセオインテグレーションといい、その上に人工の歯を設置することで、個人差はあるものの実際の天然の歯と変わらないような感覚を得られる治療方法です。
当院では歯を補う治療から派生してよりしっかりとした歯で噛めること、口を通しての生活の向上を考え、インプラントの導入をお薦めしています。

当院のインプラント治療

当院の考えとして、インプラントは決して「歯を失った箇所に埋めるもの」だけではないと考えております。
これは歯を失った際、インプラントを入れることで噛み合わせや噛む力のバランスをとることにより、表情や食事、発音への影響を抑え、残った歯の健康を手助けし、口を通しての生活の品質を維持させるものでありたいと考えているからです。

当院の使用するインプラント装置

インプラントはチタンでできています。生体の異物反応がなくチタンと骨が結合するということを発見、研究し世界を驚かせたのは、ブローネマルク博士です。ブローネマルク博士が1965年にインプラントをはじめて人間に埋入してから、約半世紀以上が経過しています。いまでは世界で数百万人の治療実績をもち、長期使用の点でもよい成績をあげています。日本では、1978年に初の手術が行われました。

当院では、世界の歯科業界でも知られるブローネマルクインプラントを採用しております。インプラント治療の世界基準におけるトップレベルの技術を提供しております。歯を失っても、より咬みやすく、より自然に口の機能を回復したい。インプラントとはそういう願いを実現できる治療法と考えています。

治療で使われるインプラントは術式、構造、保証年数によって価格帯も違ってまいります。
おもに使用しているのは下記のメーカーです。

メリットデメリットもご説明しております

  • メリット
    • 入れ歯では再現できない適切な噛み合わせと自分の歯と同じような感覚で自然な噛み心地。
    • 天然歯に近い美しい歯を再現し、綺麗な仕上がりが可能。
    • 隣接する健康な歯を削る必要が無く、他の歯に負担がかからない。
    • インプラントは顎の骨がやせるのを防止。
    • しっかりとしたメインテナンスにより、長期間の使用が可能で、安定した噛み合わせを維持できる。
    • 違和感が少なく、発音に支障をきたすことが少ない。
    • 治療期間が短いケースもある。(即時荷重・早期荷重)
  • デメリット
    • 外科的手術が必要。
    • 治療期間が長く、治療費が高額になる。(保険適用がないため他の治療費に比べ費用が高くなる)
    • 骨の吸収が大きい場合や状態により適用とならない場合がある。(骨移植を行う場合がある⇒要相談)
    • 骨粗鬆症や自己免疫疾患など全身的な状態などにより適用にならない場合がある。

インプラントは永続的な治療装置ではありません

驚かれること方もいらっしゃるかもしれませんが、インプラントは「永続的な治療装置ではない」と言えます。
確かにインプラントは天然歯より硬い金属を導入しますが、例えば皮膚内に入れられる骨の代替物とは異なり、皮膚の表面に天然歯の代わりに設置されるため、その使用環境というのは大きく異なります。
使用していく中で損傷や菌などの影響を少なからず受けますので、インプラントを長持ちをさせるためにも、ご自身の歯と同じように定期的なメンテナンスや普段からのブラッシングなどの習慣が大事になります。

骨を失ってしまった場合もご相談ください

骨を失ってしまった際に「インプラントは受けられないんじゃないか」とご不安に思われるかと思います。
症状をお伺いしてからになるのですが、以下のような方法で処置できる場合がございます。
(重度の症例の場合、ご紹介をとらせていただく場合もございます。)

GBR

インプラントの土台となる骨(歯槽骨)の量が不足していると、インプラントを埋めることができません。その不足した骨を再生させる治療法がGBRです。下顎から採取した患者さまの骨(自家骨)や人工骨を埋め込み、メンブレンと呼ばれる特殊な人工膜で覆うことで骨再生を促します。骨が再生された後は、インプラントが骨と密着しているので、脱着する心配もほとんどありません。

サイナスリフト

サイナスリフトは、不足した上顎の骨を増やす治療法です。頬骨の奥には「上顎洞」というスペースがあり、その部分を利用します。上顎洞の粘膜を剥がした部分に、自家骨や人工骨を移植。これにより、インプラントを埋め込むために十分な骨の厚さを確保できます。
骨の再生がしっかりとしてから次の段階に進むため、個人差はありますが半年から1年ほどかけて治療を行っていきます。

ソケットリフト

ソケットリフトは、インプラントを埋め込む穴の骨と上顎洞の粘膜を押し上げ、できたスペースに自家骨や人工骨を移植し、骨の厚さを確保するための治療法です。サイナスリフトより上顎洞底の骨の厚みがある場合に行われることが多くその分治療期間が短くなり、治療で骨をほとんど削らないため、患者さまの身体に与えるダメージを減らすことができます。

各治療装置との比較

インプラントとブリッジの比較

ブリッジとは、失った本数が1~2本の場合に行う治療法です。歯のない部分を補うために両隣の歯を削り、連結した人工歯で橋をかけます。(両隣の歯が差し歯の場合はできないことがあります)。固定式のため、ほとんど違和感や装着間感がありません。
※素材や失った歯の場所によっては健康保険で治療が可能です。

ブリッジの場合
  • 健康な両隣の歯を削らなければなりません。
  • 削られた歯の健康を長期間保つことは困難な場合があります。
  • 噛む力を少ない歯で支えるため、歯への負担が大きくなります。
  • 噛む力により支えの歯が割れたり、折れたりする場合があります。
  • 歯磨きが難しくなります。

インプラントと部分入れ歯の比較

インプラントの場合
  • インプラントでは両端の歯はそのままで、負担もかかりません。
  • ブリッジに比べ歯肉がやせることもなく失った歯の部分の歯肉がやせてしまうこともありません。
部分入れ歯の場合
  • 天然の歯と同じように強い力で噛むことができません。
  • 残っている歯にバネをかけるため汚れがたまりやすくなります。
  • プラスチックが口の中を大きく覆う事になり、異物感が大きくなります。
  • 発音しづらく、味覚・温度感覚が阻害されます。
  • 一般的な治療ではありますが調整が難しく、いつまでたっても使うことが出来ないことがあります。
  • 歯肉が痛くなったり、部分入れ歯が壊れることがあります。
  • 取り外し式のため口の中で動きます。
  • 部分的に歯を削る必要があります。

上記のような欠点を補うような部分入れ歯は健康保険適用外となります。ただし、健康保険適用外の部分入れ歯ですべてを解消する事はできません。

インプラントの場合
  • インプラントは、歯のない部分にのみインプラントを埋入しますので、健康な歯に負担をかけません。
  • インプラントでは失われた歯根部分の骨を支えにして人工の歯を固定します。
  • 噛む力は天然の歯と同じように骨に伝わります。
  • 残っている歯には負担はかからず、むしろ保護されます。
  • インプラントが入っていることで顎の骨が吸収される(やせる)のを防ぎます。

インプラントと総入れ歯の比較

総入れ歯の場合
  • 口の中を全体的に覆うため異物感が大きくなります。
  • 強い力で噛むことが難しく、何でも食べられるようにはなれません。
  • 上の入れ歯は落ちたり、下の入れ歯は動きやすく生活に支障をきたす場合があります。
  • 痛みが出やすく、壊れやすいです。
インプラントの場合
  • インプラントでは、インプラントが顎の骨にしっかりと固定され、ガタつきがなく力を入れて噛むことができます。
  • CT検査装置により、口腔内のガイド(インプラント挿入箇所)を想定してシミュレーションし、オールオン4、オールオン6という手法を使用すれば手術当日に入れ歯ではない仮歯まで設置することが可能です。

総入れ歯とは、すべての歯を失った時に歯ぐきの上にのせて使用します。取り外しが可能なため、清掃が簡単で、素材によっては健康保険が適用になります。

治療の流れとよくある質問

インプラント治療の流れ

インプラント治療を希望される患者さまは「歯並びを美しくしたい」「自分の歯で食べ物を噛みたい」など、さまざまな思いを持って来院されます。当院では、患者さまの期待に応えるためのサポート体制を整えております。治療に関する内容は、お気軽にお問合せください。

1カウンセリング

手術が必要なインプラント治療を不安に思う患者さまも多いことでしょう。当院では、プライバシーに配慮した個室のカウンセリングルームを設けております。そちらでカウンセリングをおこないますので、ご不明点やお悩みは、何でもご相談ください。

2参考模型の作製(症例に応じて)

インプラントを埋め込む場所を正確に知るため、症例によっては、患者さまから取った歯型をもとにして、模型を作製します。それを用いて、治療のシミュレーションをおこない、安心、安全な治療を提供することを心がけております。

3CT撮影

お口の中は、多くの神経と血管が通っており、それらを傷つけると麻痺や出血などのトラブルを引き起こしかねません。CT撮影により、骨格を3D画像として表示し、神経や血管の位置も同時に把握でき、精密な治療をうけていただけます。

4治療説明

ノーベルクリニシャンというシミュレーションソフトを用います。治療により、どのような結果が得られるのかを正確に予測し、それを3D画像として患者さまに説明できるものです。分かりやすい説明を心がけておりますが、ご不明点がある場合は、遠慮せずにご質問ください。

5一次手術

患者さまの身体的な負担を減らすために、当院では手術を1回で終わらせることを目指しております。インプラントは装着部分が歯茎から露出した状態で埋め込みますので、場合によっては、見た目を考慮して仮歯を装着します。

6二次手術

なるべく、1回で手術を終わらせることを心がけておりますが、患者さまの症例によって必要であれば、2回目の手術をおこなう場合があります。その場合は、手術が必要な理由を医師がご説明いたしますので、ご安心ください。

7人口の歯の装着

インプラントが骨と結合していることを確認し、人工歯を装着いたします。人工歯は、素材により価格がさまざまです。患者さまがお好みのものをお選びいただくことが理想ですが、どのタイプを選んだらいいかのアドバイスもおこなっております。

8メインテナンス

当院で定期的なクリーニングを受けて頂き、清潔な口腔環境を保てるようにしましょう。インプラントに細菌や汚れが溜まると、インプラント周囲炎と呼ばれる感染症を引き起こす可能性があります。定期的なメインテナンスにより、インプラントの寿命を長くすることが期待できます。

インプラントでよくあるご質問

Qインプラント治療に年齢制限はありますか?

基本的に年齢制限はありませんが、治療には、インプラントの土台部分になる歯槽骨に十分な厚さが求められます。ご高齢の方は、加齢により骨が薄くなっている場合があり、手術が難しいこともあります。治療をご希望の際は、一度ご相談ください。

Q治療費はどのくらいかかりますか?

治療費に関しては、埋め込むインプラントの本数や取り付ける人工歯の材質など患者さまのお口の状態により変わります。治療費については直接ご案内しますので、ご安心ください。

Q治療期間はどのくらいかかりますか?

患者さまの症例により異なりますが、治療期間は通常、6か月前後と考えていただければと思います。インプラントを埋め込むために必要な、お口の中の骨を増やす手術をする場合は、治療期間が長くなることもあります。

Qインプラント治療は痛いですか?

麻酔を使いますので、痛みを強く感じることなく、手術をうけていただけます。麻酔が切れるとお口の中に痛みを感じることもありますが、時間の経過とともに治まります。もし、痛みが続く場合は痛み止めを処方しますので、ご相談ください。

Qインプラント治療中は歯が無い状態ですか?

インプラントが骨と結合するまでの間、人工歯を装着することはありません。ですが、埋め込むインプラントの本数や位置によっては、見た目に影響があることも考えられます。その際は、仮歯を装着するなどの対応をさせていただきます。

Qインプラントはどのくらいもちますか?

インプラントは永続的に使用できます。しかし、溜まった細菌が感染症を引き起こし、それが原因でインプラントの寿命を短くしてしまうことがあります。インプラントを長く使用するためにも、定期的なメインテナンスと歯磨きなどのケアを怠らず、お口の中の健康を保つようにしましょう。

Q他医院で「骨がないからインプラントはできない。」と言われましたが可能ですか?

当院では、骨再生・骨移植手術をおこなっております。手術により、インプラントを埋め込むために必要な骨の量を回復できることが多く、他医院で断られても、当院では治療可能なケースが多くあります。是非、ご相談ください。

Qインプラントは違和感がありますか?

個人差に寄り多少の違和感があるかもしれませんが、ほとんどの方はすぐに慣れると言われています。なぜなら、インプラントは歯を支える歯槽骨と結合し、既に自分の歯の一部として機能しているためです。何か気になることがあればお気軽にご相談ください。

Qインプラントはどんな環境下で治療をおこなうのですか?

インプラント治療で、患者さまに細菌感染が起こらないために、徹底した衛生管理を目指しております。患者さまが安心できるよう、手術室はもちろん、治療器具やインプラント器具などに細菌が付かないための滅菌処理をおこなっております。

Qインプラントをしてから肩がこり、顎が疲れるのですがどうすればいいですか?

そのような場合、すぐに当院までご連絡ください。原因を解明し、症状が改善されるようサポートいたします。体の不調をそのままにしておくと、症状が慢性化したり、全身の不調につながったりしてしまうことがあります。